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鏡味 沙耶; 丹羽 正和; 梅田 浩司*; 檀原 徹*; 藤田 奈津子; 中西 利典*; 鎌滝 孝信*; 黒澤 英樹*
no journal, ,
鬼界アカホヤ火山灰(K-Ah)を噴出した約7,300年前の鬼界アカホヤ噴火に関連して、数回の津波が発生した可能性があることが報告されており、この津波による堆積物は、九州から四国、近畿地方の沿岸部各地で報告されている。本研究では、宮崎平野のコア(MMS1)において、鬼界アカホヤ噴火に伴う津波が関連している可能性がある堆積物を新たに見出したため、火山ガラスの屈折率測定と主要・微量元素組成分析、C年代測定を行った結果について報告する。深度12.010.4mでは、火山ガラスや軽石が砂とともに平行葉理を発達させながら層状に濃集し、それらが層厚1m以上にわたって厚く堆積していた。これは、テフラが水中で二次堆積したものと考えられるが、同様の産状の堆積物が宮崎平野のコア(MIK1)において報告されており、鬼界アカホヤ噴火に伴う津波堆積物とされている。C年代、火山ガラスの化学組成および屈折率に基づく対比のいずれにおいても、鬼界アカホヤ噴火に伴うイベント堆積層として矛盾の無い結果が得られた。K-Ahの火山ガラスの化学組成は、SiO濃度が65wt.%付近の低SiO(L型)と75wt.%前後の高SiO(H型)のバイモーダルになっており、幸屋火砕流(K-Ky)噴火前期まではH型が噴出し、K-Ky噴火後期にL型が混合したマグマが噴出したと考えられている。MMS1の深度11.810.2mの試料では、H型の中でも2つのクラスターがあり、さらに、深度12.3mの試料では、H型の中のSiO濃度が高いクラスターのみ検出された。この結果は、鬼界アカホヤ噴火のマグマ組成において、これまで考えられてきたH型とL型の2つの分類だけではなく、H型がさらに細分され、噴火中のマグマの組成変化を表している可能性がある。